AirPods Pro 3を、通勤の電車でも、日中のオンライン会議でも、夜のジムでも使っています。1台で3シーン回せているので、正直これで完結していました。
そこに「Ankerのイヤホンも良いらしい」という話が入ってきた。調べてみると、Ankerのフラッグシップ Soundcore Liberty 5 Pro は 26,990円。AirPods Pro 3の 39,800円 に対して、12,810円安い(価格はいずれも2026年8月時点)。
同じ3シーンを回せるなら、この差額は無視できません。スペックを比べたうえで、実際に買って2週間、3シーンで使いました。
先に結論を書きます。
この2機種は、性能では優劣がつきません。2週間使った限り、通話・バッテリー・装着感・ノイズキャンセリングは、Liberty 5 Proのほうが良いか同等でした。私自身は、Liberty 5 Proをメインにすることにしました。 それでも、誰にでもそう勧められるわけではありません。分岐点は音質ではなく、あなたが仕事で使っているPCがWindowsかMacか、そしてApple製品間の自動切り替えをどれだけ使っているかです。

なお、この記事は別の記事で書いた「3シーンを1台で回す5つの判断基準」を前提にしています。基準そのものはそちらを読んでください。
基本スペックの比較
| Apple AirPods Pro 3 | Anker Liberty 5 Pro | |
|---|---|---|
| 価格(税込・2026年8月時点) | 39,800円 | ◎ 26,990円 |
| 形状 | カナル型 | カナル型 |
| 連続再生(ANCオン) | ◎ 最大8時間 | 最大6.5時間 |
| 連続再生(ANCオフ) | — | ◎ 最大12時間 |
| ケース込み(ANCオン) | 最大24時間 | ◎ 最大28時間 |
| ケース込み(ANCオフ) | — | ◎ 最大50時間 |
| 防塵防水 | ◎ IP57 | IP55(イヤホン本体) |
| マルチポイント | Apple製品間の自動切替 | ◎ 最大3台(LDAC使用時は2台) |
| コーデック | AAC | ◎ SBC / AAC / LDAC |
| マイク | — | ◎ 8基+骨伝導センサー |
| 重量(片耳) | — | 5.9g |
| 心拍センサー | ◎ 搭載 | なし |
| ケースのディスプレイ | なし | ◎ 搭載 |
◎が優位な側です。見事に割れています。 これが「どちらが良いか」に一言で答えられない理由です。
勝負がつく5つのポイント
1. マルチポイント — Windows環境では、ここで決着がつく
これが最大の争点です。
AirPods Pro 3の「複数デバイスの切り替え」は、正確にはマルチポイントではありません。同じApple IDで紐づいたApple製品の間を自動で行き来する機能です。iPhoneとMacとiPadで揃えている人にとっては、何も操作せずに切り替わる魔法のような体験になります。
問題は、会社支給のPCがWindowsだった場合です。
この場合、Windows PCとの接続は普通のBluetooth機器として扱われます。iPhoneで音楽を聴いていた状態から会議に入るには、Windows側で手動接続し直す。会議が終わってiPhoneに戻すには、また切り替える。これを1日に何度も繰り返します。
対してLiberty 5 Proは、最大3台の同時接続に対応します。iPhone・Windows PC・タブレットを全部つないだまま、音が鳴ったほうに切り替わる。OSを問いません。
2週間の会議は、すべてWindows PCのTeamsとZoomで行いました。相手に聞き返されることはなく、通話の品質は非常に良かった。 iPhoneからPCへの切り替えも、音が鳴ったほうに勝手に移るので、切り替え作業そのものが消えました。AirPodsで毎日やっていた手動接続がなくなる、というのがどういうことか、使ってみて分かりました。
逆にMacとiPhoneで統一している人にとっては、AirPodsの優位は揺るぎません。Liberty 5 Proのマルチポイントが便利でも、AirPodsの自動切替のほうが操作が少ないからです。
ひとつ注意点があります。LDACを使う場合、マルチポイントは2台までに制限されます。 音質を優先するか接続台数を優先するかは、設定で選ぶことになります。
2. バッテリー — 数字の読み方で評価が変わる
ANCオン時の連続再生は AirPods Pro 3が8時間、Liberty 5 Proが6.5時間 でAirPodsの勝ちです。
ただしLiberty 5 Proは、ANCをオフにすると最大12時間に伸びます。ここが実用上の分かれ目になります。
前の記事で「1日の使用時間を計算してください」と書きました。通勤1.5時間+会議3時間+ジム1時間=5.5時間というモデルケースで見ると、
- AirPods Pro 3(8時間)── 余裕がある
- Liberty 5 Pro(ANCオン6.5時間)── ぎりぎり足りる。会議が延びると危うい
- Liberty 5 Pro(会議中はANCオフ運用)── 12時間まで伸びるので余裕が出る
在宅の会議中はノイズキャンセリングを切っても困りません。 むしろ宅配便のインターホンを聞き逃さないために切りたい場面すらあります。この運用ができるなら、バッテリーの差は逆転します。

2週間の実測では、会議が3時間程度ある日でも、電池は持ちました。 片耳ずつ交互に使う運用もそのまま成立します。前の記事で書いた「片耳を外してケースで充電しながら会議を続ける」は、AirPodsでなくてもできました。
ケース込みの総再生時間では差がさらに開きます。ANCオフなら最大50時間で、AirPodsの24時間の倍以上。出張で1泊するとき、この差は効いてきます。
3. 運動シーン — ここはAirPodsが明確に強いと思っていた
防水等級で差がつきます。AirPods Pro 3はIP57、Liberty 5 ProはIP55。
IP55の「5」は噴流水への耐性で、汗や小雨には十分な水準です。ただしIP57の「7」は一時的な水没に耐えるレベルで、格が一段違います。土砂降りの中を走る、汗を大量にかく、といった条件ではAirPodsのほうが安心です。
なお、Liberty 5 ProのIP55はイヤホン本体のみの規格で、充電ケースは対象外です。汗をかいた手でケースを扱う場面は日常的にあるので、ここは頭に入れておいたほうがいいです。
そしてもうひとつ、AirPods Pro 3には心拍センサーが内蔵されています。 ワークアウト中の心拍を計測できるため、ジムでスマートウォッチや心拍ベルトを別に用意する必要がありません。運動習慣がある人にとって、これは無視できない価値です。Liberty 5 Proにこの機能はありません。

ここまではスペックの話で、実機を使う前は「運動はAirPods」と決めつけていました。ところが2週間ジムで使ってみると、装着感はLiberty 5 Proのほうがフィットしました。 ずれる、落ちそうになる、汗で気になる、のどれも起きていません。片耳5.9gという軽さも効いていると思います。筋トレ中心の私の使い方では、運動シーンでLibertyが劣る場面はありませんでした。
ただし、これは2週間・筋トレ中心の話です。屋外を長く走る条件や、雨の中での使用は試していません。防水等級の差と心拍センサーの有無は、実機の印象で消えるものではないので、そこは分けて考えてください。
4. マイクと通話品質 — スペック上はLibertyが厚い
Liberty 5 Proは 8基のマイクと骨伝導センサー を搭載し、AnkerのAIチップ「Thus」が通話時のノイズ処理を行います。骨伝導センサーは、声帯の振動を直接拾って周囲の騒音と切り分ける仕組みです。
数の上ではかなり手厚い構成ですが、マイク性能はスペックでは判断できません。 前の記事にも書いたとおり、これは会議相手からしか分からない領域です。
実機での結果は、争点1に書いたとおりです。2週間の会議で聞き返されることはなく、通話品質は非常に良かった。 AirPods Pro 3でも聞き返されることはほぼなかったので、ここは「同等以上」という評価になります。差をつけられる材料はありませんでした。
5. 音質とコーデック — 使っているスマホで答えが変わる
Liberty 5 Proは LDAC に対応し、Bluetooth 6.1を採用しています。9.2mmドライバーで、ウルトラノイズキャンセリング4.0とDolby Atmosを搭載します。
AirPods Pro 3が対応するのは AAC までです。
ただし、これはAndroidスマホならLiberty 5 Proが有利という話であって、iPhoneユーザーには関係がありません。iPhoneはLDACに対応していないため、どちらを使ってもAACで接続されます。
「LDAC対応だから音が良い」という書き方をしている記事を見かけますが、あなたの手元のスマホがiPhoneなら、その差は発生しません。 これは正直に書いておきます。
そのうえで、2週間使った印象を書きます。音楽やYouTubeの音声は、Liberty 5 Proのほうが聞きやすいと感じました。 ノイズキャンセリングも、通勤の電車ではLibertyのほうが良い気がしました。「感じた」「気がした」と書くのは、測定したわけではなく体感だからです。アプリでは「手動設定モード(Lv5)」、つまり最も強い設定で使いました。同じAAC接続でも、機種による音作りの違いは出るので、ここは実際に聴き比べて決めてください。
ケースにディスプレイが付いているのもLiberty 5 Proの特徴ですが、私は2週間、一度も使いませんでした。 操作はアプリと本体で足りたからです。ここは評価できるほど使っていない、とだけ書いておきます。
なお、両機種ともアプリで翻訳機能をうたっています。私はAirPods Pro 3を翻訳のために買ったのに1度も使っていないので、翻訳は比較の対象に入れていません。
上位モデルのPro Maxはどうなのか
Liberty 5 Proには、上位に Liberty 5 Pro Max(36,990円) があります。こちらを選べばAirPods Pro 3とほぼ同価格になるので、比較対象として気になる方もいると思います。
結論だけ書くと、イヤホン本体の性能は Pro と Pro Max で完全に同一です。1万円の差は充電ケースのAIボイスレコーダー機能で、しかもその機能にはオンライン会議を録音できるかどうかという重要な前提があります。
この記事の比較にはPro Maxを持ち出す必要がありません。詳しくは別の記事にまとめました。
シーン別の判定
| シーン | 優位 | 理由 |
|---|---|---|
| 通勤・移動 | 引き分け〜Liberty | どちらもノイズキャンセリングと外部音取り込みを備える。体感ではLibertyのほうが良い気がした |
| オンライン会議(Windows PC) | ◎ Liberty 5 Pro | マルチポイント3台。切り替えの手間が消える。通話品質は非常に良かった |
| オンライン会議(Mac) | AirPods Pro 3 | 自動切替の完成度はAppleが上 |
| ジム・筋トレ | 引き分け | 装着感はLibertyが上。心拍センサーとIP57はAirPodsだけ |
| 屋外を走る・雨 | AirPods Pro 3 | IP57。Libertyのこの条件は未検証 |
| 出張・長時間の外出 | ◎ Liberty 5 Pro | ケース込み最大50時間 |
| 音楽・動画(iPhone) | Liberty 5 Pro(体感) | どちらもAAC接続。音作りの違いで、私にはLibertyが聞きやすかった |
| 音質(Android) | Liberty 5 Pro | LDAC対応 |
| 価格 | ◎ Liberty 5 Pro | 12,810円安い |
結局、どちらを選ぶべきか
判断は3つの質問で決まります。
Q1. 仕事のPCはWindowsですか?
はい → Liberty 5 Proが有力。毎日の接続切り替えから解放される価値は、使ってみると想像より大きいです。
いいえ(Mac) → AirPods Pro 3の自動切替の快適さは、他社が追いつけていない領域です。
Q2. 運動はどこまで追い込みますか?
屋外を走る・大量に汗をかく → AirPods Pro 3。IP57と心拍センサーの組み合わせは代えが利きません。
筋トレ中心・室内のみ → 装着感はLibertyのほうが良かったので、ここで差はつきません。心拍を測りたいならAirPods。
Q3. 1万3千円の差をどう見ますか?
これが最後の質問です。Liberty 5 Proを選べば、12,810円が手元に残ります。 2週間使った限り、通話・バッテリー・装着感・ノイズキャンセリングのどれでも、AirPodsに劣ると感じた場面はありませんでした。
AirPods Pro 3が勝っているのは、Apple製品との統合、IP57、心拍センサーの3点です。この3つに1万3千円払う価値があるかどうかが、最終的な判断になります。
iPhoneとMacで揃えていて運動もする人なら、答えは「ある」です。Windows支給で筋トレ中心の人なら、答えは「ない」に傾きます。
私自身は、2週間使った時点で、Liberty 5 Proをメインにすることにしました。 仕事のPCがWindowsで、運動は筋トレ中心。つまりQ1とQ2の両方で、AirPodsが勝つ条件に当てはまらなかったからです。3シーンをAirPodsで回せていた人間が、同じ3シーンを安いほうで回せると分かった。それが2週間の結論です。
まとめ
- イヤホンとしての基礎性能は、どちらも3シーンを回せる水準にあり、2週間使った限りLiberty 5 Proが劣る場面はなかった
- 分岐点は仕事のPCのOSと運動の強度、そして1万3千円をどう見るか
- Windows支給・筋トレ中心なら Liberty 5 Pro。筆者もこちらをメインにした
- Apple製品で統一・屋外ランニングなら AirPods Pro 3
- スペック表の数字は、自分の1日に当てはめてから比べる
- ここに書いた実機の印象は2週間のものです。長く使って変わったら、この記事を更新します

