AirPods Pro 3 には、心拍センサーが入っています。
イヤホンで心拍が測れる。これを聞いたとき、「スマートウォッチが要らなくなるのでは」と思う人がいると思います。私も少し期待しました。ジムに持っていく機器を1つ減らせるなら、それは意味のある話です。
結論を先に書きます。トラッカーをすでに持っているなら、この機能に出番はありません。
ただ、これは「使えない機能」という意味ではありません。誰にとって意味があるのかがはっきり分かれる機能だ、という話です。
なお、本記事の内容は2026年9月時点のものです。
そもそも、常時測っているわけではない
まず前提を揃えます。AirPods Pro 3の心拍センサーは、24時間動いているわけではありません。
Apple公式の説明によると、心拍数が記録されるのはワークアウト中です。フィットネスアプリや対応するアプリで運動を開始したとき、耳の中のセンサーが動きます。
つまり、イヤホンを着けているだけでは記録されません。 音楽を聴いているとき、会議に出ているとき、通勤しているとき。これらの時間の心拍は残りません。
私自身、しばらく気づいていませんでした。AirPods Pro 3をジムでも使っているのに、ヘルスケアアプリにAirPods由来の心拍データが見当たらない。故障か、設定漏れかと思って調べたら、そもそもワークアウトを開始していなかったというだけの話でした。
仕様どおりです。私が期待の仕方を間違えていました。
トラッカーとは、そもそも土俵が違う
ここが本題です。
私はGoogle Fitbit Airという健康トラッカーを、24時間着けています。腕に着けるタイプで、画面がありません。防水なので風呂でも外しません。バッテリーが1週間もつので、充電のために長時間外すこともありません。
この状態で、AirPodsの心拍センサーに何ができるか。
答えは「何もない」です。ジムにいる時間、Fitbit Airはすでに心拍を測っています。そこにAirPodsで同じ時間帯を測っても、同じデータが二重になるだけです。
比べてみると、性格の違いがはっきりします。
| Fitbit Air | AirPods Pro 3 | |
|---|---|---|
| 計測のタイミング | 24時間、自動 | ワークアウト開始時のみ |
| 必要な操作 | なし | アプリで運動を開始する |
| 睡眠中 | 測る | 測らない(着けて寝ない) |
| 安静時心拍 | 測る | 測らない |
| 主な役割 | 記録し続ける | 運動中の補助 |
トラッカーは記録し続ける道具、AirPodsは運動中だけの道具です。競合していません。
そして健康管理で価値があるのは、たいてい継続して記録されたほうです。安静時心拍がどう変化しているか、睡眠中の心拍がどうか。こういう情報は、着け続けていないと出てきません。
では、誰のための機能なのか
トラッカーを持っていない人のための機能です。
ジムに通っていて、運動中の心拍は知りたい。でもスマートウォッチを買うほどではないし、腕に何かを着けたくもない。そういう人にとって、これは相当に良い解決策です。
- すでに持っているイヤホンで測れる
- 運動のために追加の機器を買わなくていい
- 片耳だけでも計測できるので、両耳を塞ぐ必要がない
- 腕に何も着けなくていい
運動中の心拍だけが欲しいなら、これで十分です。ゾーンを意識したトレーニングをする人でなければ、記録が残るだけで足ります。
逆に言えば、日常の記録が欲しい人には足りません。 起きている間ずっとの心拍、睡眠、安静時心拍。ここまで欲しいなら、常時装着の機器が要ります。
判断の仕方
自分がどちらか、簡単に分かる質問があります。
「運動していない時間の心拍を知りたいか」
知りたい → 常時装着のトラッカーが必要。AirPodsでは埋まりません
運動中だけでいい → AirPods Pro 3で足ります。追加の機器は不要です
もうひとつ。
「毎回、アプリでワークアウトを開始できるか」
AirPodsで心拍を取るには、運動のたびにアプリを操作する必要があります。数秒の作業ですが、毎回必要です。ここを忘れると記録が残りません。私が最初に気づかなかったのも、この操作をしていなかったからです。
着けているだけで勝手に貯まるのがトラッカーの利点なので、この一手間をどう感じるかは分かれ目になります。
まとめ
- AirPods Pro 3の心拍センサーは、ワークアウト開始時のみ動きます。 常時計測ではありません
- 常時装着のトラッカーを持っているなら、同じ時間帯を二重に測るだけで出番はありません
- トラッカーを持っていない人にとっては、追加の機器を買わずに運動中の心拍が取れる良い選択肢です
- 分かれ目は「運動していない時間の心拍が欲しいかどうか」
新しい機能が付いたからといって、使う理由になるわけではありません。機能があることと、自分に必要なことは別です。
私の場合、すでにトラッカーがあったので、この機能は使っていません。ただ、持っていなかったら評価は逆になっていたと思います。

